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繖三観音連絡協議会 会長
西国第三十二番札所 観音正寺 住職 岡村遍導

湖東平野に広く裾を広げて佇む繖山(きぬがさやま)は古来より神、仏が宿る聖地でありました。山麓の人々は日々このお山を眺め、そして礼拝の対象ともなったのです。繖山から山麓を望むと豊かな田園風景が広がり、豊かな土地柄はこのお山の恵ともいえます。

今から1400年前に聖徳太子がこの地を訪れ、太子との縁が深く様々な伝説が残されています。観音正寺は聖徳太子と人魚伝説、石馬寺は太子の馬が石になったとされる伝説など不思議な伝説が現在でも言い伝えられております。

繖三観音の寺院はそれぞれに歴史も深く全て開基が聖徳太子であり、各寺院の御本尊は全て観世音菩薩が祀られております。聖徳太子が観音化身と呼ばれた由縁と太子信仰が残っております。

観世音菩薩は別名「施無畏者」とも呼ばれ、畏れ無きことを施していただける菩薩です。つまり我々に生きていく勇気を与えていただけるのが観世音菩薩です。

仏教詩人 坂村真民の詩にこんな詩があります。

「生きてゆく力がなくなるとき」

死のうと思う日はないが
生きてゆく力がなくなることがある
そんなときお寺を訪ね
わたしはひとり
仏陀の前に坐ってくる
力わき明日を思うこころが
出てくるまで坐ってくる

繖三観音の寺院はそんな勇気を与えてくれる観音様と自然な飾りのない山寺らしい素朴さがあります。是非とも繖三観音に足をお運びいただき心に栄養を与え、そして東近江市、近江八幡市の歴史と伝統、そして文化に触れていただき善き寺巡り、良き思い出作りにお誘い申し上げます。